消えゆく燈火

こと原題「燈火闌珊」。TIFFにて。繁華街のビルというビルから競うように突き出し不夜城香港のシンボルだったネオン看板が安全性の問題で規制され次々と撤去が進む中、ネオン職人だった夫を失い悲しみにくれる妻が夫の工房を継ごうとするが。。。主演の張艾嘉が報酬度外視で参加したという本作は曾憲寧監督の長編第一作で、我らが任達華が夫役をつとめたほか若手の蔡思韵、周漢寧らが共演のファミリードラマ、であるとともに実質的な主役はネオン看板といってよく、往年の燦爛たるネオン文化へのノスタルジーと香港そのものの変化への感傷も伝わってくる誠実で哀切な小品。個人的にも初めて香港に行った大昔にとりわけ強烈な印象を受けたのがエスカレーターのスピードとネオンの洪水と深夜まで街中にあふれる(幼児も含めて)人々だったので、遠い目にならずにはおれませんでした。

まったくの余談ですが、「七人樂隊」の林嶺東監督パート「迷路」でヤムさんの奥さんを演じた龔慈恩とシルヴィア姐とサシのシーンがあり、思わず「嫁対決か」といらんことを考えてしまいましたすみません。