コーダ あいのうた

日劇場にて。本日(日本時間)発表の米アカデミー賞で作品賞、脚色賞、助演男優賞(トロイ・コッツアー)の3冠を祝し、遅ればせながら感想など。両親と兄の3人が聾者という家庭で育った健聴者のヒロインが歌の才能を認められ音楽学校への進学をすすめられるが、それは家族にとって世間とつながるための手話通訳がいなくなることを意味しており、互いに葛藤を生じる物語。オリジナルの仏映画「エール!」(18)は未見なので比較分析等できないのですが、両親役と兄役を実際に聾者である俳優たちが演じているリアリティをはじめ、スラングもがんがん飛び出す手話の雄弁さ、劇中歌と歌唱の魅力、ふだん当たり前に聞こえている身としてしばしばハッと気づかされる(かつおしつけがましくない)演出の心地よさが印象的な、陳腐すぎる表現ですが胸あたたまる感動作でした。その上で、ちょっといろいろわかりやすい気もしたので、個人的には「パワー・オブ・ザ・ドッグ」に脳天がっつりやられていたこともあり受賞結果については健全な作品が選ばれたのだなという印象を持った次第です。もちろん下馬評も高かったしとても愛すべき映画だということに異論はないです。

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