山歌(サンカ)

先日試写にて。1965年の山間部の村を舞台に、受験勉強のため東京から祖母の家へ来た少年が山窩(さんか)と呼ばれる山の民の一家と出会い、深く影響されていく物語。かつて山から山へと放浪の暮らしを送る人々が日本に存在し、しかしその実態はほとんど知られていないということと、この映画が群馬県中之条町で開催される伊参(いさま)スタジオ映画祭のシナリオ大賞受賞作として著者本人(すなわち本作の笹谷遼平監督)により映画化されたものであることを今回初めて知ったのですが、山岳信仰修験道系にシンパシーを感じる自分しかもグンマ生まれ&育ちとしてはもうそれだけで惹かれずにはいられないものがあり、はたして印象に強く残ったのは、時代や設定はちがうけれどもどこか「リンダ・ワンダリング」を想起させもする一種スピリチュアルな「目に見えないもの」と時代の流れの中で消滅してしまった1つの生活文化への静かなリスペクト。とりわけ「天井桟敷」の中心的俳優だったという(すみません存じあげませんでした)蘭妖子演じるおばあさんが太陽をあおいで静かにくずおれていく美しさと永遠性に息をのむ思いでした。

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