白いトリュフの宿る森

こと原題「The Truffle Hunters」。昨日劇場にて。食材の宝石ともいうべき希少で高価な白トリュフを探し求めて日夜愛犬とともに森へ分け入っていく北イタリアはピエモンテ州のトリュフハンターたちを追った、長年の経験と愛犬との相互信頼に裏打ちされ、一子相伝ですらない、むしろ一代限りのスキルでよしとする目利き&鼻利きなベテランの面々がよく撮影を許したなというところからすでに驚きの、なんとも香りたかく誇りたかきドキュメンタリー。わんこの首にカメラを付けたらしいノンストップな動きの映像のほかはほとんど固定カメラで被写体をとらえ、それぞれ一幅の名画のような静かなショットの深みと美しさにうっとり。グルメの資産家とおぼしき男性が卵とチーズだけのシンプルな一皿の上に白トリュフをたっぷりけずったのをひとくちひとくち赤ワインとともに味わう至福感に満ちた場面にプッチーニのオペラ「トスカ」から「星は光りぬ」の厳粛な歌声が重なるシーンはほとんど宗教画のようでした。

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