ゲンボとタシの夢見るブータン

だいぶ前になってしまいましたが試写にて観賞。今月18日から公開となります。主人公は由緒ある寺院の住職を父に持つ兄のゲンボと妹のタシ。ゲンボは父の期待を一身に背負っているものの後を継いで僧侶になることに本心ではあまり気が進まない様子。タシは女の子に生まれたが心は男の子だった。互いによき理解者である兄妹の現代っ子らしい素顔と現実とのひそやかなギャップが日々の暮らしの中に浮かび上がってくる、いずれも若手のブータン出身の監督とハンガリー出身の監督による共同作品。ブータンといえば〝幸福の国〟、素朴で敬虔な仏教徒たちが平和に暮らす国というイメージが先行していたので、思いがけず切ないものがありました。国民的幸福の平均値は世界有数の高さだとしても誰も彼もが文句なしに幸福なわけではないというのは当たり前といえば当たり前のこと。ゲンボとタシの「その後」がとっても気になる、でもきっとちゃんと自分らしくあり続けているという希望的直感も感じさせる印象的なドキュメンタリー。
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