長い旅

特集上映「現代ヨーロッパ映画(その1)−移民・難民・越境・辺境・マイノリティ―」にて鑑賞。昨年のイスラーム映画祭で上映されたときには見そびれてしまっていた2004年作品。移民先のフランスから5千キロ離れたメッカへ向けてオンボロ車で巡礼の旅に出た、敬虔なイスラム教徒でガンコな父とイスラム教に興味のない今どきの息子。言い争いになったりトラブルに見舞われたりもしながら7カ国を横断する道中を共にするうち父子の心は次第に近付いていくが…。何ひとつ押しつけがましくなく説明的でなく多面的なテーマと普遍的な情感の描写のやさしさがやるせなくもあたたかく胸にせまる忘れ難い1本。