私が死んでも

専修大の上映会にて鑑賞。文革初期、知人の讒言によって紅衛兵たちに凄惨な暴行を受け死亡した女性教師の夫が悲嘆の中で記録にとどめた写真や証拠品、関連文書と当時の同僚など目撃者の証言(加害者側の関係者には取材を拒否された)で構成された、日本でもこれまで数回イベント的に上映されただけという胡傑監督によるインディペンデント・ドキュメンタリー。その事件が党の上層部に容認されたことに勢いを得て燎原の火のごとく“正当化された殺人”が全国に広まったという集団狂気に絶句しつつ、一方で「アクト・オブ・キリング」のようにアカ狩りの名のもとに行われたジェノサイドを思い出したりもして、右とか左じゃなく上の命令や場の空気に乗って大手を振って殺戮に走る人間が世界のどこでも一定以上の割合でいること、ごく一部の特殊な例とはいえない人間性の暗部をつきつけられ、見ていてツライけれどもこうした映画を地道に撮っている中国の監督(たち)に頭が下がる思い。