サウルの息子

劇場にて鑑賞。アウシュビッツ強制収容所でゾンダーコマンド(捕らわれのユダヤ人のうち、同胞の死体処理を行うことと引き換えに自分の処刑まで数カ月の猶予を与えられた者たち)として働く主人公サウルが、ある日大勢の死体の中に自分の息子の姿を見つけたことから、なんとか正式に埋葬してやろうとしてギリギリの状況でとりつかれたように奔走する…。日々ナチス兵に追い立てられながらおぞましい仕事に従事するゾンダーコマンドたちのほとんど会話の体を成さないまでに抑圧された短いささやきや、揺れ動くカメラがぼんやりとしかうつし出さない無数の囚人たちの“処理”風景がかえって鮮烈に地獄絵図を想像させ、最初から最後まで切迫した危機感に見ているこちらも心身が硬直する思いがし、見終わっても容易にその緊張がほどかれることはない、2015年カンヌ国際映画祭グランプリ作品。
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