「カサバー町」「うつろいの季節(とき)」

トルコの巨匠 ヌリ・ビルゲ・ジェイラン映画祭にて鑑賞。遅ればせながら「雪の轍(わだち)」で出会い「昔々、アナトリアで」でさらに深みにはまった新米ファンとしては旧作をスクリーンで見られるチャンスに感謝。前者は監督の初長編作品で、閉塞的な町の小学校の授業風景と、その中の貧しい生徒が下校してからの三世代一家の深い結びつきとかみ合わない会話が永遠に続くかのような、美しく力強いモノクロの映像世界。後者は監督自身(イケメン!)と監督夫人(美人!)が主演をつとめた男女の心のすれちがいを描く人間ドラマで、こちらも人と人とのかみ合わなさは同様でありつつ会話のかわりに息詰まるような沈黙のさまが、見ているだけでこごえそうな雪景色とあいまってすばらしく印象的でした。