籠の中の乙女

先日、試写にて鑑賞。
高い塀に囲まれた邸宅で敷地内から一歩も出ることなく成長した長男、長女、次女。外の世界は危険きわまりないと子供らに思い込ませている父親は唯一外界を知っている存在で、やはり敷地内から一歩も出ない妻ともども明らかに異常なやり方で子育てをしており(子供に名がないか、あっても普通に使われていない。言葉の一部を本来の意味で教えていない等々)、正気と狂気の境目があいまいな彼らの閉じた空間は奇怪なりにユートピア的な均衡が保たれていたが、あることをきっかけにそこにほころびが生じ…。
見ていくうちに、あの子たちは本当にあの夫婦の血を引いているのか、さらにあの妻ももしかしたら夫に妻として“育てられた”のではないかと(あくまで個人的解釈ですが)思えてくる、怖い童話のような白昼夢のような、奇妙なリアルさに引き込まれるカンヌ映画祭「ある視点」グランプリ受賞作。
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