This Is What I Remember

昨日TIFFにて。キルギスの名匠アクタン・アリム・クバト監督が主演も兼ねたキルギス・日本・オランダ・フランス合作映画。出稼ぎ先のロシアで事故のため記憶喪失になった父親を息子が20年ぶりに村へ連れ帰り、口をきかず意思の疎通もはかれないその男の存在が地元に小さな波紋をもたらす。実話をもとにふくらませたという物語は、息子夫婦や旧友たちの戸惑いと受容、夫は死んだものとあきらめて地元ヤクザ(ではないかもしれないがガラのわるい金持ち男)と再婚した元妻の苦悩の、余白や行間の多い描写がとつとつと胸に沁み入って見るものそれぞれの想像の空間を広げてくれる一種の寓話に思えました。宗教のしばりやムラ社会の不自由さの一方で、ある日突然あらわれたおじいちゃんとごく自然に仲良くなる孫娘の純粋さ、かわいらしさが大きな救い。