8月のエバ

こと原題「La virgen de agosto(The August Virgin)」。JAIHOにて。日本独占初配信とのことでこの映画のことも初めて知りましたが、ちょうど今の時期に見るのにぴったりな、住民の多くがバカンスで街を離れる盛夏のマドリッドを舞台に半月家をあける家主の部屋を借りてゆっくり自分を見つめなおそうとする32歳のヒロインの物語。彼女が自分探しをする原因ははっきりとは示されないながら、何事もない日もあれば疎遠になっていた人と再会したり偶然の出会いから友人ができたりする日もあり、そんな日々が重なるにつれなんとなく察せられてきて、モラトリアムのけだるさと焦燥感がたまさかイタい言動やスピリチュアル系に振れそうなあやうさと交錯してどこか切ない心持ちに。原題は「8月の処女か?」と思ったら「8月の聖母」のことだそうで、見終わってその意味がわかったような、でも今ひとつわからないような、不思議に心地よい余韻が残りました。