金の糸

先日試写にて。ジョージアグルジア)の首都トビリシの旧市街、古い集合住宅に娘夫婦と暮らす老作家エレネが、娘の姑でソ連の政府高官だったミランダが認知症になり引き取って同居させると娘から聞いてひどく不愉快になる。エレネはスターリン時代に父が粛清され母は流刑になり、エレネ自身も作家活動を封殺されたトラウマがあった。。過去の亡霊のような人物と対峙するエレネ、長年の時を経て彼女と電話で語り合うようになった昔の恋人アルチル、ソ連時代の栄光の記憶の中で生きる老女ミランダ、人生の最晩年に入った3人の心の空洞を「金の糸」(監督が日本の伝統技術、金継ぎに感銘を受けたことからこのタイトルになったそう)でつなぐかのような哀しく美しく苦痛の向こうに祈りと悟りをうかがわせる物語は、ジョージアを代表する監督のひとりラナ・ゴゴベリぜ(1928年生まれ!)自身の人生が反映され、そうした基礎知識を十分持たずに見たこともあってあとからプレスを熟読してひときわ胸をしめつけられるものあり。ウクライナ問題でかつてないほどロシアへの関心(ほとんどが怒りや嫌悪感と思いますが)が高まっている今のタイミングではからずも公開中です。

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