再会の奈良

中文タイトルは「又見奈良」。すでに公開が始まっておりだいぶ遅れてしまいましたが先日試写にて鑑賞。残留孤児の養女に麗華と名付けいつくしみ育てた陳おばさんが、94年に日本に帰国した麗華と連絡がとれなくなったのを心配して彼女が住んでいた奈良を訪れ、日本に住む残留孤児二世の小澤(おざわでなくシャオザー)と國村隼演じる元刑事の吉澤(こちらはよしざわ)も協力して3人で麗華の消息をたずねてまわる中で、小澤と吉澤の半生や何人もの残留孤児たちの〝帰国後〟の人生も浮かび上がってくるヒューマンドラマ。「妻の愛、娘の時」「花椒の味」でおなじみ(な人にはおなじみ)の国家一級俳優・呉彦姝女史がすばらしくて、胸アツ。撮影当時81歳だったそうですがしみじみと味わい深く、かつ軽やか。よくぞ出演してくださいました。監督の鵬飛は北京生まれで80后、フランスで映画を学び蔡明亮監督の「ヴィザージュ」などで助監督、ホン・サンス監督の「アバンチュールはパリで」ではアシスタントプロデューサーをつとめるなどの経歴を持つ国際派。インタビュー記事などを読むと、撮影準備のため奈良に半年以上滞在し、多くの残留孤児の人たちにも取材したそうで、これまで自分としてはなんとなく斜に構えてとらえていた双方がお金とスターを出して友好的に作った日中合作映画という(こういっちゃなんですが合作ありきというか)イメージをいい意味でくつがえしてくれました。

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