ヴィオレット ―ある作家の肖像―

試写にて鑑賞。
地元フランスでも忘れられた存在となっていたのがこの映画によって再び脚光を浴びたというフランスの女性作家ヴィオレット・ルデュック。私生児の出自、母との近親憎悪的関係、容貌コンプレックス、同性愛や結婚の失敗などに苦しみもがいた半生を私小説にし女性として初めてあるがままに性を描いてセンセーションを巻き起こすまでを、その文才を信じ陰に陽にサポートを続けたボーヴォワールとの特異な結びつきの中で描いた文芸映画。主人公のエキセントリックなキャラクターは今の感覚でいえばしばしばイタい部分もありつつひたむきで純粋で、まだ女性の地位が低かった時代の文脈の中で見るとそんなはみ出し者的人物を断固として世に送り出そうとした胆力とそれができるだけの社会的地位を確立していたボーヴォワールの強靭さがむしろ驚きでした。ちなみに、主演のエマニュエル・ドゥヴォスはとてもエレガントな女優さんという印象を持っていたんですがこの映画では“醜い顔”という役作りとはいえもうちょっと美人だったはずだけどなあと思っていたらなんと付け鼻メイクをしていたとあとからプレスを見て知りました。
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