TAR ター

劇場にて。日本公開になる前から評判がすごくて賞レースではエブエブのライバル作品的立ち位置でもあった本作、「衝撃の結末」というような文言を何度も目にしてきたのでねたばれを踏まないよう気をつけてきてなんとか踏まずにすんだので心おきなく衝撃を受けることができました。ベルリンフィル初の常任女性指揮者であり音楽界のカリスマ、リディア・ターの完璧な成功者としての日々に少しずつ暗雲がたれこめていく不穏な上にも不穏な158分。監督トッド・フィールドの冷徹な洞察力にシビれ、ケイト・ブランシェットの憑依的名演にうなり、時間を忘れて見入ってしまいました。で、今さらながら思うのはオスカーはエブエブが席巻してこちらが無冠というのはちょっと差がつきすぎだったかなと。ただ映画の賞というのはタイミングに左右されるものなので今年はそういう年だったのでしょう。また、ケイト・ブランシェットが女優引退をほのめかしているという記事を最近見かけましたがここまでやりきってしまうとそんな心境にもなるのかもと思いつつ、時間がもう少したって撤回する気持ちになってほしいとも切に思うものであります。

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