夫婦の危機

先日、試写にて鑑賞。イタリア映画傑作選第2弾「Viva!イタリア vol.2」で上映される1本で、自分はイタリア映画やナンニ・モレッティ監督作品については初心者同然だものでイタリア映画全体の文脈の中でこの作品を把握することはできないんですがとても魅力的な作品でした。かつてB級映画で名を馳せた今は落ち目のプロデューサーが久しぶりの新作で監督に逃げられーの、なんとか仕切り直して出資者がみなしり込みしそうな政治的題材(時の首相ベルルスコーニを痛烈に皮肉る内容)の別の映画にとりかかったはいいが今度は主演俳優に逃げられーの、さらに私生活では元女優の妻と危機的状況の中で幼い息子たちに心配をかけまいと必死でとりつくりーのと、ストレスのトリプルパンチの中で右往左往する人生哀歌にして映画賛歌。2006年作品。
主人公のストレスがこっちにまで感染してくるようなドタバタ感ははんぱないものがありましたが、終盤ふいに自分がどこかの段階でパラレルワールドに放り込まれていたことにようやく気付いたような、やられた!ブラボー!みたいな驚きが…。まるでA地点からB地点を見ていたはずがいつの間にかB地点からA地点を見ていた、みたいな…。プレスを読むと実際は別にそういうしかけではないようなんですが、「もしかしてあの場面を境に話の内側と外側がめくれ替わったのかな?」と想像したほうが痛快なので勝手にそう想像することにしました。ちなみにある時点からモレッティ監督自身がベルルスコーニを演じてて、マフィア映画の主人公ばりにク―ルです。