戦場記者

オンライン試写にて。TBSテレビの特派員にしてJNN(Japan News Network)中東支局長である〝戦場記者〟須賀川拓の、中東にとどまらず世界各地の紛争地へおもむき家や家族を失った市民からイスラエル軍タリバンの責任者まで幅広くタフな取材を重ねていく姿を追ったドキュメンタリー。戦場の記者やカメラマンの仕事については、ロザムンド・パイクが「プライベート・ウォー」で演じた実在の戦場ジャーナリストのように、使命感や達成感はもちろんだと思うけれどそれ以上に一度やったらやめられなくなるような何かがあるのだろうかというちょっと自分には想像のつかない部分があったりしたのですが、今回少しまた印象が変わって、たくまざる行動力と責任感のたまものなのかもしれないと。本作では被写体である取材相手と同じく今度は自らも被写体となった須賀川自身がさらに監督もつとめているためか、たとえばオフの日の姿もとらえてオンの日とのギャップとかほっこりする人間味とかを見せるような演出はなく常に〝戦場記者〟として映像の中に居ること、爆撃音がしたり相当危険そうな場所でも淡々と(?)その状況解説をしてくれる(というか平常運転として自然にそうしてしまうように思える)ことが印象的で、ある意味ユニークで、それだけにリアルでもあって、臨場感と当事者意識を刺激される濃密な102分。にしてもパレスチナイスラエルタリバンなどそれぞれの権力側のいずれも自分たちの戦いを正当化する言い分の傲慢さ、しらじらしさといったら。

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