オンライン試写にて。300人以上の犠牲者を出した14年のセウォル号事件をモチーフに、実際にボランティア活動を通じて遺族たちと長年接してきたというイ・ジョンオン監督が息子を失った夫婦の葛藤を描くデビュー作。同じく子を失った者同士でもいわゆる「悲嘆のプロセス」や現実への向き合い方がそれぞれ少しずつ異なる中、とりわけ傷心のあまり精神状態が不安定な妻スンナム（チョン・ドヨン）は事件のときに海外から戻って来られず妻を支えられなかった夫ジョンイル（ソル・ギョング）に心を閉ざし、その深刻さはひときわ胸をえぐるものあり。イ・ジョンオン監督はイ・チャンドン監督のもとで経験を積んだそうで、その意味ではイ・チャンドン監督の名作「シークレット・サンシャイン」におけるチャン・ドヨンのさらなる進化形が本作の大きな見どころと言えるかも。もちろん我らがソル・ギョングの名演も鉄板です。
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