グレイマン

Netflix にて。CIA子飼いの暗殺者だったがあるミッションを境に逃亡した〝グレイマン〟(ライアン・ゴズリング)、彼を消すために差し向けられたソシオパスのロイド(クリス・エヴァンス)と彼の裏切りの真相をさぐるCIA工作員ミランダ(アナ・デ・アルマス)の3人を中心に展開するノンストップ・アクションスリラー。どこかしら往年のジョン・ウー映画を思い出させるド派手でけれんみあるアクションとトップスターたちのオーラで魅せる、暑気払いに格好の1本。劇場で見たほうが当然ながらスケール感をもっとがっつり味わえるだろうなと(公式サイト)思いつつ配信で見ちゃいました。

BLUE ISLAND 憂鬱之島

劇場にて。「乱世備忘 僕らの雨傘運動」の陳梓桓監督が日本との合作で5年がかりで完成させた新作は、文革の大陸からのがれ香港へ泳いで渡ってきた夫婦、60年代の反英(=反植民地)暴動に関与した元活動家、天安門事件当時に勇躍北京へ行き心折れて香港へ戻った元活動家、そして雨傘運動で大きく盛り上がり結果的に激しい弾圧を受け沈黙を余儀なくされた香港民主化運動の当事者まで、香港が直面してきた政治状況が当事者たちによる再現映像も含む「記憶」と「記録」とともに複合的に結びつき呼応しあいながら緻密とも複雑ともいえる構成で眼前にたちあらわれる失意と信念と覚悟のドキュメンタリー。リスクを承知で実名で顔を出した人たちと匿名の参加者たち一人一人全員の香港とこの映画への思いにこうべをたれる思いです。いろいろツラいものがありましたが、有罪判決を受けた一人としてグレゴリー王宗堯(まだ彼が台湾アイドルドラマに出ていたころ一度インタビューしたことあり)がうつっていたのもちょっとショック。。

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ボイリング・ポイント 沸騰

劇場にて。副題が沸点でなく沸騰なのはなにげに疑問でしたが次第にそんなこたどうでもよくなる、ロンドンの一流レストランを舞台にクリスマス間近で爆満の予約状況の中、シェフを筆頭に多忙すぎて爆発寸前のスタッフをさらに追い詰めていくトラブルの連続をワンカット撮影で映し出し、同業者が見たら身につまされることも多々ありなのかも?ともっぱら食べる専門のこちらとしてはバックヤードの苦労を想像しつつノンストップなストレスに見ている側も次第に巻き込まれていくお仕事エンタメ。笑ったりあきれたり驚いたり、そして後味は「フレンチアルプスで起きたこと」にちょっと近いものがありました。

余談ながら自分の体験ですが、ある時そうそう行くことのないお高めのレストランでまったりと料理を味わっていたところ、隣ではないけど近くにいた男性客が支配人を呼びつけ「このステーキの肉、サイテー」と一刀両断でこきおろしているのを耳にして、美味しく感じなかったのはそれはそれでしょうがないしそれをレストラン側に伝えてもいいけど「何様だかしらんが周囲に聞こえるような声でダメ出しするおめーがサイテーだよ」とむかついたのを思い出しました。。

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三国志 〜司馬懿 軍師連盟〜

全86話。アマプラにて完走。曹操曹丕曹叡、曹芳の4代に仕えた魏の軍師、司馬懿(仲達)の青年時代から晩年までを描く重厚長大な歴史ドラマ。2017年の作品で、かねてより評判は聞きおよんでましたが期待以上の完成度と見ごたえに刮目、オープニングとエンディングは別として本編は1ミリも早送りすることなく壮絶かつ濃密な人間ドラマにどっぷりとひたり、盛者必衰のことわりにため息をつき、見終わって長い余韻をかみしめております。司馬懿といえば「死せる孔明、生ける仲達を走らす」の故事の人だけに孔明との智謀合戦もたっぷりと描かれ、そのパートがやっぱり一番胸おどる。なにしろ朝廷内での権力争いが最初から最後まで尋常ならざるえげつなさで、それを1つ1つ知恵をしぼって命からがらくぐり抜け、窮地を脱したらまた次の窮地の繰り返し。スリリングで面白い(コメディパートがほどよく差し込まれているのもGJ)一方で気持ちが消耗することもはなはだしく、その点、諸葛孔明だけは敵ながらあっぱれな知己であり至高のライバルゆえ見ていてほんと痛快だし、孔明役のベテラン俳優・王洛勇がまたかっこよすぎて萌え死にモノ。もちろん主役の呉秀波をはじめ曹操役の于和偉、荀彧役の王勁松までイケオジ名優に事欠かないのも大きなポイントです。にしてもその後の呉秀波の封殺はそれだけのやらかしがあったとはいえ、楊修役の翟天臨共々なんとももったいないことでした。

スーパー30 アーナンド先生の教室

オンライン試写にて。「WAR ウォー!」の最強兄貴リティク・ローシャンが鋼鉄の筋肉も悩殺のまなざしも封印して貧しい家庭の秀才たちを超難関校インド工科大学に合格させるべく無償の寮付き私塾を開設した教育愛あふれるカリスマ塾長を演じる驚きの実話映画。エンタメとしてのフィクションを織り込みつつ(だいたい想像がつくけど具体的にどこがフィクションかは重要じゃないと思う)世界的秀才を輩出し続けてきたインドの教育事情と格差社会の現実にもせまり、胸アツまた胸アツ。そういえばデーヴ・パテルが天才数学者を演じた「奇蹟がくれた数式」(こちらも実話もの)は悲しい映画だったなあと思い出したりもしました。

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稽古

会主講習会@T道場。しーふーいわく「胸の力を抜く。あごを引く。姿勢がしっかりすると丹田に気が落ちる」「武道家は個の人が多い。全体を見ることも必要」「自由は不自由を経て、確実は不確実を経て得られる」「りんごを食べたことのない人にいくら色や形や味を説明してもわからないことが、りんごを食べればすぐわかる。それが感覚」

キングダム2 遥かなる大地へ

公開初日に劇場にて。原作漫画は未読のため前作と同じく純粋に映画として楽しみました。冒頭部分はちょっと、つかみは十分!とまでは感じなかったんですが(すいません)タイトルが出たあと加速度的に面白くなって、下村アクション監督によるアクションのクオリティはさすがの鉄板だし、キャラ一人一人の濃さと役者たちの存在感(出番の多寡にかかわらず)も上々。とりわけ主演の山崎賢人は前作ではラスボス坂口拓と戦って勝つには正直線が細い印象があったんですが(これまたすいません)あれからさらに相当鍛錬したと思われ動きのキレと説得力は目を見張るものあり。そして、大沢たかおとトヨエツのこれぞエンタメとわくわくさせてくれる大物感たるや。キター!という感じでたんのうしました。3作目も楽しみに待ちつつ、このさいやっぱり原作も読んでおいたほうがよろしいでしょうか(読みなさい)。

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