Summer of 85

試写にて。フランソワ・オゾン監督が17歳のときにに出会い大きな影響を受けたというエイダン・チェーンバーズの小説「Dance on my Grave」(俺の墓で踊れ/徳間書店)の原点回帰的映画化作品。85年のフランス、ノルマンディーの海辺の町を舞台に16歳のアレックスと18歳のダヴィドのわずか6週間の鮮烈な愛と別れを描く狂おしく痛ましくピュアな青春映画は、自分の中では「藍宇」と「君の名前で僕を呼んで」が交互に反芻されてしみじみと切々とささるものがありました。

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オリジナル・シン ー原生之罪ー

アマプラにて。翟天臨&尹正ダブル主演のクライム・サスペンス。えらく評判よさげなので見はじめましたら案の定止まらない勢いです(毎度このパターン)。中国ドラマは見るとしても時代劇ばかりだったので現代ドラマは超ひさしぶり。中国側キャストもいろいろ良いんですが香港映画好き目線ではまず演出が葉偉民というのがおおっとなるし武術監督の黃偉亮とかメインキャストの顏卓霊とかサブキャラで鮑起静、姜大衛、尹揚明、恬妞(貫禄がついたなぁ)が登場するのがいちいちツボに入りまくり。まだ序盤ですが、楽しみに見ていきます。

ペトルーニャに祝福を

劇場にて。北マケドニア(旧ユーゴ)を舞台に、30歳過ぎて定職につけず悶々と過ごすペトルーニャが、女人禁制の伝統儀式の場に出くわして衝動的に参加しその年の幸運を呼ぶという十字架を手にしたことから男たちを怒らせ警察が出動する大騒ぎに。。いろいろこじらせすぎてイタタタな印象だったペトルーニャの怒りや懊悩や開き直りがひきおこすすったもんだに家族と宗教とジェンダーのテーマが濃厚に反映された、実話に着想を得た女性監督テオナ・ストゥルガー・ミテフスカによるアイロニカルで滑稽で予測不能な痛快作。結局なんのための十字架なのか…ほんとそれ。世界中のペトルーニャに幸あれかし。

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稽古

合気クラス@I道場。しーふーいわく「なんにでも役割がある。受け手なら受けるのが役割。まずちゃんと受ける。それからくずしに入る」「失敗して、気づく。その繰り返し。最初からわかるなんてことはない」「感情をコントロールできるようになること。なにも感じるなというのではなく、自分の感情を離れたところから見る。実際は達人であるほど感情の振り幅は大きいんだよ」

2gether THE MOVIE

劇場にて。タイの大人気BLドラマ「2gether」の映画版。本国タイがコロナの影響でまだ上映できずニッポンが最速上映だそうで撮り下ろし部分のねたばれはしないでください等の注意書きが冒頭に出ましたが自分はドラマを見ていないので幸いねたばれのしようもありません。ちなみに場内女子率は目視で99.9%。ドラマファンが多かったのかな。で、肝心の映画は恋におちる主役の2人がもう文句なしにかかかかかか可愛い。。話はいろいろつっこみどころもありつつ彼らの美的破壊力でもう全部もっていかれる勢いで、気のせいだと思うけど眼前にうっすらと沼が広がって、いやはや眼福でした。。余談ですがグリーン役のコが誰かに似てるなあとずっと思いながら見ていて、今ふと思うにピエール瀧でした。

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ジャッリカットゥ 牛の怒り

一昨日、試写にて。南インド・ケーララ州の村で肉屋に解体される運命だった一頭の水牛が逃げ出したことから村中がパニックになり惨事が惨事を呼んでいくド迫力のマラヤーナム語映画。ロッテントマトの評の1つに「徒歩版『マッドマックス 怒りのデス・ロード』」とあってなんじゃそりゃあああ?と思ってたんですがこれはむしろ水牛版『300(スリー・ハンドレッド)』というか牛一頭対300人(数えきれないのでわからないけど)の男たちの死闘映画。とにかくすごい、すごすぎる、聞きしにまさる圧倒的な発狂映画でした。ブラボー! と血圧はねあがりつつなにげに水牛カレーがとても食べてみたくなる映画でもありました。

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緑の牢獄

日劇場にて。西表島のジャングルの中にかつてあった炭坑村へ出稼ぎにきて辛酸を舐めた台湾人の生き残りである老婆の最晩年の数年を追った、台湾出身・沖縄在住の黄インイク監督による重く切ないーーときに微苦笑をさそわれるところもあるのだけれどそれだけに重い部分がより重く感じられるーードキュメンタリー。公開が始まってだいぶたちようやくの鑑賞ですが見られてよかった、というかこの映画を見なければずっと知らないままだったであろうから知ることができてよかったというべきか。2年前に初めて西表に短い旅をしたときはこのような1つの黒歴史があったことを知らずごく能天気に過ごしましたが、もし知っていたらマングローブの森の奥に向かって手を合わせていたと思います。。

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